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遥かなる戦場

 久しぶりに映画の紹介です。

遥かなる戦場 [DVD]遥かなる戦場 [DVD]
(2011/06/22)
トレバー・ハワード、バネッサ・レッドグレーブ 他

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<あらすじ>
 クリミア半島をめぐってイギリスとロシアが一触即発の状態にあった1850年代初頭。ノーランは第11軽騎兵連体に配属されるが、部隊を率いるカーディガン卿とささいな事から衝突を繰り返してしまう。やがて部隊はクリミアへ出陣。コレラや物資の不足に悩まされる兵士をよそに、子爵たちは贅沢な貴族生活を満喫しながら進軍を続ける。そして、ついに英仏連合軍と露軍はエクレバの地で一戦交えることとなった・・・。(DVDの説明文より)
 バラクラバの戦いを映像化した本作品、『遥かなる戦場』というセンスの無い題名はもちろん邦題で、本来の題は『The Charge of the Light Brigade』で、訳すと「軽騎兵旅団の突撃」となり、バラクラバの戦い(で行われた突撃)を意味する代名詞となっています。
 本作品は無論戦争映画ですが、戦闘シーンは映画のクライマックスのみで、大半は平時における訓練の様子や、イギリス上流階級の生活の描写に費やされています。
 さて、この映画には一貫した明確なテーマが存在します。それは貴族、そして貴族に支配された軍隊に対する痛烈な批判です。映画に登場する貴族出身の高級将校はみなこれでもかと傲慢、無能、無責任に描かれていて、平民あがりの下級将校や兵士たちをいびりまくります。特にひどいのが旅団長のカーディガン卿で、監督は彼に親でも殺されたのかと思える程です。そこにきてノーラン大尉は良識ある人物で、彼らの言動に打ちひしがれつつも祖国と軍の未来を案ずる悲劇の主人公となっています。このふたつの対比によって当時の貴族の異常性を浮き彫りにするというのがおそらくこの作品の狙いなのでしょうが、貴族描写があまりに悪辣すぎて批判精神というよりは憎悪のほうが垣間見えます。また映画ではバラクラバにおける無謀な突撃はカーディガン卿が命令を誤解して、その責任をノーラン大尉になすりつけたように描かれていますが、史実ではノーラン大尉が命令を伝え間違えたとも、また軽騎兵万能論者だった彼が自説を証明しようとわざと命令を曲解したともいわれ、この映画の貴族批判に本当に正当性があったかには少々疑問符がつかざるを得ません。
 では、戦争映画の最も重要な要素である軍事面の考証に目を移すと、マニアにはたまらない出来となっています。前述した通り、この映画の大半は平時の訓練シーンになっていますが、1850年代の騎兵の訓練の様子が映像化されているというだけでも騎兵ファンには一見の価値ありです。馬の背の高さの台を使って上り下りの訓練をしたり、片足に麦の穂をつけてどっちの足を先に出すか体に覚えさせるなど興味深い場面が次から次へとでてきます。また兵舎には兵士の家族の部屋があって、そこで兵士の奥さんと子供達が共同生活を送っているなど、当時の兵士生活のリアルな様子がうかがえます。そしてなにより戦闘シーンは圧巻です。騎兵旅団が戦闘隊形を組んで徐々にロシア軍の砲兵陣地に接近する様を俯瞰でとらえたカットは実に勇壮で、「陣形」と聞いただけでワクワクする男の子のロマンを満たしてくれます。
 あと、映画のオープニングとクリミア半島でのシーンの前に、当時の新聞の風刺漫画をアニメーションにしたような映像が挿入されます。なんだか見ていて不安になる不気味な映像で、果たしてこの映画に必要だったのか疑問ですがそれ自体は皮肉が利いていて面白いです。
 結論から言ってこの『遥かなる戦場』はそう痛快で面白い映画とは言えません。ただ莫大な予算を投じた大作感を楽しみたい人や騎兵ファンの方には見ても損はない作品といえるでしょう。
 
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